2024年10月5日(土)に中古購入した日産モコX-FOUR(4WD)MG33S(2013年12月式、127000km)であるが加速にジャダーがある。アクセル開度一定で0-60km/hと加速していくと加減速を繰り返しながら加速していくような挙動、いわゆるハンチングが感じられる。CVTはそんなもんだという論調もあるが、我が家にあるスズキソリオGX4(4WD)MA26S(2019年11月式、62000km)はそんなことはなく実に滑らかである。走行距離的には倍近く走っているので単純な比較はできないが、何らかの不具合を抱えていると言っていいだろう。怪しい中古車屋でナンバー無し、車検無しの試乗できない状態で買った中古車だから保証もないし、車検は10月2日に通ったばかりで納車されているので文句も言えない。そして厄介なことにこの症状が顕著に出る日とそうでもない日がある。
スズキ・軽・CVT・ジャダーとかそれっぽいワードで検索してみると、ネットには先人の情報がたくさんある。CVTフルード(以降CVTF)の交換である程度は改善するらしいことがわかった。CVTは金属ベルトで駆動しているという構造上、金属粉が多量に出ること、その回収をするためにフィルターとマグネットが入っていること、マグネットから金属粉を除去するにはオイルパンを外す必要があること、オイルパンを外すからにはついでにストレーナーも交換した方が良いことなどを理解。つまり過走行車に出てくる症状のようなので、ソリオも近々CVTF交換をすべきなのだろう。金属粉そのものが悪さしているのか、金属粉がフィルターを詰まらせて油圧の低下を招いているのか、その辺まではわからなかった。
日産モコMG33S≒スズキMRワゴンMF33Sなのであるが、製造元であるスズキにも、OEM先である日産にもフィルターとストレーナーは交換部品としては用意されていないようである。但し、オイルパンのガスケットと、ドレンプラグのガスケットは部品番号が展開図には出てくる。
ガスケット・トランスミッションオイルパン 31397-4A00B、これはスズキの部品番号では24762-82KA0となり、そっちの方が安い(1600円税別)。ガスケット・ドレンプラグ 11026-4A00C、これもスズキの部品番号では24824-54LS0となり、そっちの方が安い(320円税別)。これらを秋田スズキの部品課から購入。部品課だけは日曜定休なので土曜か平日に購入する必要がある。そして、この展開図には出てこないがアイドリングトップ車特有の装備でCVTフルードをエンジン停止中に循環させるための電動ポンプがあって、その、Oリング・Eオイルポンプ 22982-70KN0、これは2個必要(180円税別/個)でスズキには1個しか在庫が無かったので今回はパス。
残りの部品は日産部品秋田で調達。まずはスズキに在庫が一個しかなかったOリング・Eオイルポンプ 22982-70KN0、これは日産の部品番号では31356-6A00A。そしてフィルターアッシー・オイル 31726-3XX0A(430円税別)と、そのシール・Oリング 31526-3JX3A(170円税別)。最後にフィルターアッシー・オイルストレーナー 31726-6A00C(1940円税別)。日産部品は日曜もやっているのだが、フィルターとストレーナーは注文になってしまった。ということは、日常的に日産ディーラーではこういった作業は行われていないのであろう、事実スズキも日産もCVTFは無交換指定。
面白いことに、ストレーナー 31726-6A00Cのラベルの下には三菱のラベルが貼ってあった。
三菱の部品番号2824A027がどうやらオリジナルのようだ。NMKV車の製造元である三菱自動車工業が日産に供給している?何はともあれ部品は揃った。
そして迷ったのがCVTF、結論から先に言えばオートルブサプライのCVTF、20Lペール缶を買った(15000円税込)。缶はいかにもノーブランドで怪しいんだけど、コスモ石油ルブリカンツ(株)様を始め潤滑油専業メーカー各社様よりご協力頂き、各メーカー商品並びに弊社OEM商品を販売致しております、なんて会社案内に書いてあるし、信用しようと。モコの取説のサービスデータによると日産純正CVTF NS-3を使えとある。でも、レベルゲージの入り口にはSUZUKI GREEN2と書いてあるのできっと初期充填はスズキ純正CVTF GREEN2であろうしMRワゴンもそうなのだろう。
どうでもいいウォッシャー液などをはじめ日産純正が並ぶかと思いきや、不思議なことにトランスファーオイルとLLCはスズキが純正指定されている。正直よくわからない(どちらも日産純正でもラインナップはあると思うのだが)。で、NS-3とGREEN2の性状を調べてみると、NS-3の密度は0.85、色は青、40℃での粘度は25.81、100℃では6.23。GREEN2は密度0.84、色は緑、それ以外不明。ちなみに日産のNS-2は密度0.84、40℃粘度は32.6。で、このオートルブサプライのCVTFは密度は0.85、40℃粘度は33.26、100℃では7.036と、NS-2よりも少し硬いようだ。純正以外壊れるとか、NS-3指定にNS-2入れるのはダメだとかいろいろゴタクはあるんだけど適合表を見るとどちらもOKであり、まぁ問題ないんじゃないの、と。このCVTFでも十分シャバシャバだから感じとしてはよくわかんないんだけど、シャパシャバなのは燃費を重視した結果で、油膜を考えると硬い方が振動とかも低減するかもしれないし。
さて、YouTubeにはこれらの交換実例が多々出てくるのだが、不思議なことに手順はほとんどがこう。
- CVTFを抜く
- オイルパンを剥がす、ストレーナーを外す
- ストレーナーを取り付ける、洗浄したオイルパンを取り付ける
- 電動ポンプを外す、フィルターを外す
- フィルターを取り付ける、電動ポンプを取り付ける
- CVTFを入れる
フィルターを外すとまた汚れたCVTFが上からドバーっと出てくるわけ。で、結局オイルパンが汚れるわけ。なんでそんな効率悪いやり方を踏襲しているのか意味がわからん。きっと最初にやった人の手順を何の疑問も思わずに猿真似しているからだろう。少しは考えろよと。よって、自分はまず、
- CVTFを抜く
- オイルパンを剥がす、ストレーナーを外す
ここまでは同一手順でやって、この後、
- 電動ポンプを外す、フィルターを外す
- フィルターを取り付ける、電動ポンプを取り付ける
- ストレーナーを取り付ける、洗浄したオイルパンを取り付ける
- CVTFを入れる
という手順で行うことにした。
ドレンボルトはかなり硬いトルクで締まっていた。赤黒いフルードが排出された。赤黒い?NS-3にしろGREEN2にしろ、青か緑のはずだ。一度赤色系のフルードで交換されているのか?赤と青を混ざれば紫になるので或いはそうかもしれない、或いは汚れがそこまで進んでいる?いずれにせよ前歴不明。ドレン出口がパンの底より高い位置にあるのでこれでは半分も排出できないだろうことはわかる。
その後、残っているであろうフルードに気を付けながらオイルパンを剥がした。マグネット2個にびっしりと黒い鉄粉が付着しているが、マグネット的に限界でこれ以上鉄粉は付着できないので、回収できていないと思われる。つまり、フルード中に大量に浮遊しているわけだ。
この状態から電動ポンプ外しに着手する。この間、CVTFはだらだら垂れているのでそれを待つ時間の使い方としても合理的だ。それにしてもこのコネクタが外れなくて苦労した。
電動ポンプの奥にあるフィルターのケース取付ボルトを外し、反時計回りに回してやると爪をかわすことができる。
じわじわと引っ張ったら外れた。ここでフルードが出てくるので、先にオイルパンを取り付けるのは無駄ではなかろうかと思うわけ。フィルターを外すとまたフルードが出てくる。
フィルター新旧は御覧の通りで言うまでもない。新品を取り付けて、フィルターのケースのシール・Oリングを交換してから取り付ける。
電動ポンプのOリング・Eオイルポンプを2個交換して電動ポンプを元に戻す。これで上の作業は終了。
このくらいになると垂れるオイルもほとんどないのでストレーナーを取り外すのにちょうどよい。ボルト3本外して引っこ抜くだけ。
新旧ストレーナー。取付穴位置は同じで互換性があるが、吸い口位置が異なる。色の違いは汚れで、黒い汚れは触ると取れる、おそらく鉄粉。差込口にOリングは付いていた。
マグネットをきれいにしてオイルパンも洗浄した。また鉄粉を吸着していただこう。
新たなストレーナーを取り付けてからオイルパンをガスケットを介して取り付ける。あとはCVTFを入れるだけである。
抜けたフルードは約4L弱。そうすると新しいフルードは4L缶で足りるのでは?と思うのだが、サービスデータより既定量は5.7Lとあるので、ざっくり言って65%くらいは抜けた計算になる。つまり全部は抜けないので、のちのちまたフルードを抜いて、再度入れ替えることによっておよそ100%入れ替わることになるわけだ。だから予め20L買っておいた方が良いというわけ。ソリオもそのうちやるし。
オートルブサプライのCVTFは茶色で普通のオイルという感じだった。
レベルゲージから注油。その後、エンジンをかけて各レンジに入れて適当に走行、レベルを見て良しと判断する。128000km時の交換であったが効果は顕著に表れた。症状は完全になくなったわけではないがかなり軽減した。変なハンチングはわずかに感じるときもあれば全く感じないときもあるけれども、感覚としてはほとんど良いな、という感じ。65%の交換率でここまで劇的に変わるのであれば、さらに交換することによってより状態を向上させることも期待できよう。或いはフィルターの詰まりが油圧の低下を招いていた可能性もある。もしそうならCVTFの交換だけでは効果は期待できない。つまり、今回の作業は総じて意味があったと言える。
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